導入事例:サントリービジネスシステム株式会社様

サントリービジネスシステムが挑戦する「経理業務の工数削減、サントリーグループ全体の快適な業務環境の提供」

「水と生きる」というコーポレートメッセージで抜群の知名度を誇るサントリー。天然水や缶コーヒーをはじめとする食品事業、ウイスキー事業、ワイン事業、ビール事業、さらには、スキンケア化粧品や健康食品を開発・提供する健康食品事業など展開し、多くの商品を日本だけでなく世界に送り出している。

そのサントリーグループ各社の人事、経理、総務といったバックオフィス業務の支援を担うのがサントリービジネスシステム株式会社だ。その中でもグループ経理部では、支払処理や請求書の発行などがより簡単に実施でき、グループ各社が快適に業務を遂行する環境を提供することをミッションに経理業務のデジタル化に取り組んでいる。経理業務のデジタル化を通じた業務革新によって、グループ各社の従業員が本来の活動に集中できるようになるだろう。

そんなサントリービジネスシステムでは、ファーストアカウンティングが提供するAIソリューション「Remota」の導入を決めた。AIソリューション「Remota」の活用に至った経緯は何か。A Iソリューションを導入する際の焦点は何だったか。導入を推進したグループ経理部 部長 国部潤一郎氏とグループ経理部 課長 山田晃子氏に伺った。

課題

一般支払の業務フロー変更で見えてきた効率化の将来像と取り組みたい次のステップ

サントリーグループでは2019年から注文書なし発注(Non-PO)の支払業務に関して、大きく業務フローの変更を行った。注文書なし発注は、業務別システムと連携して支払いにつながる他の支払いと異なり、社内稟議とは照合するものの、連携すべき発注データが無いため、請求書記載情報を元に支払処理を実施する。

注文書なし発注の支払い業務に関してのデジタル化を先行して行った理由について、「注文書なし発注は仕組みとして、二重支払などのミスや不正が一番起きやすい部分です。まずは一番リスクの高いNon-POの領域の透明性をなるべく高めたい、ミスを防ぐためになるべく自動化したいと考えています。」と国部氏は話す。

2019年に行った、注文書なし発注(Non-PO)の支払業務の変更ポイントは、大きくは下記の3点だ。

  • 請求書証憑の電子化
  • 支払業務をはじめとする経理伝票の電子回付
  • 証憑の電子保管

この変更では、全体の経理業務フローを見直し、請求書証憑をデータ化して、そのデータを支払伝票画面へ転記することで業務の効率化が進んだ。しかし、それらの取り組みを進める中で、更に効率化すべき業務プロセスが見つかったと山田氏は話す。

「請求書証憑のデータ化や伝票起票の後の作業である、アウトソーサーでのチェックの作業を自動化でもっと削減していきたい。」(山田氏)

サントリービジネスシステム株式会社グループ経理部 課長 山田晃子氏

新型コロナウイルス感染症が全国に拡がる中、サントリーグループでは支払業務と社内稟議・契約書の捺印は電子化が進んでいたが、在宅勤務を前提とした仕事の仕方をさらに模索していく必要があると話す。

「会社の業務全てをペーパーレス化、電子化し、どこでも仕事ができるような環境を整えなければいけないと考えていて、紙の削減が重要課題になっています。まずは社外への支払業務で電子化、電子回付や電子保管を行い、業務フローをできる限り自動化し、どこでも仕事ができるようにすると同時に時間削減・コスト削減を図りたいと考えています。」(国部氏)

導入のポイント

「座標設定をしない」「整合性がわかる」から工数削減につながると確信した

サントリービジネスシステムでは、2019年から主に支払業務において、電子化、電子回付や電子保管を進めていて、より効率化をはかるために試行錯誤をしていた。OCR(光学文字認識)[1]も試していたが、座標設定を行うタイプであることから請求書タイプごとに登録する必要があり、さらにはPDFの若干の歪みによって読取りが難しくなるなどの課題もあったため、現場の入力や後工程のチェック業務の削減につながらなかったと山田氏は振り返る。そこで、現場入力やチェック業務の削減につながるようなスキームを探し始めた。

目指すところは、コロナ禍で働き方も変わっていく中で、どこでも仕事ができる環境を整えることだ。

さらに電子化に対しても、より効率的にしていくために、「せっかく電子データを扱うからには、人間が途中で入力をするような、余計な工数を省きたいと考えておりました。」と国部氏は話す。

しかし、現状は紙にもPDFにも対応せざるを得ない状況である。サントリービジネスシステムでは、なるべく汎用性の高いOCRを使うのがベストプラクティスと考え、コンペ形式でのRFP(提案依頼書)[2]を依頼した。ただ、読み取り精度が高くても、結局は後工程で人間による目視チェック作業が避けられない。どうにかこのボトルネックを解決できるようなスキームを探していたのだ。

「これまでの他社製品同様にOCRの座標設定を登録しないとまた読み取れないのだろうなと思っていましたが、ファーストアカウンティングのAI OCRソリューションは座標軸の登録が全くいらないところが非常に魅力的でした。請求書タイプの登録が不要になるので、登録作業の削減になりますし、登録が進まずOCR活用が進まないという課題も解決できます。また、ひとつのPDFの中に複数の証憑が入っていても請求書を切り分けてくれるなど経理業務に必要な機能を搭載しているAI OCRでした。更に我々の想像以上だったのが整合性の表示でした。例えば、請求書を読み取って、本体価格、消費税金額、合計金額など数字の整合性の結果をTrue/Falseという形で返していただけます。」(山田氏)

「OCRを入れても、支払業務の後工程にあたる人間の目視チェックはなくならないのであれば、どこまでコスト削減に貢献できるのか疑問に思っていましたが、ファーストアカウンティングの「Remota」の整合性の表示によって、“この数字が間違ってない”ということを我々も確信できました。数字の正確性が認識できれば、請求書に関しては後工程をなくすことができます。Remotaを活用することで、工数削減、コスト削減につながると確信できたので、今回ぜひ導入させていただきたいと思いました。」(国部氏)

また、余計な混乱を招かないため、支払申請を行う担当者や現場部署に関わる業務フローについては、なるべく変更せずに効率化をはかろうと考えていた。「Remota」自体には、サントリーグループで使われている支払申請システムとのAPI[3]連携機能は搭載されていなかったが、API連携することで現場業務フローを変えずに効率化をすることが可能だと考え、開発を行い、連携を実現した。

「Remotaには弊社のワークフローとのAPI連携の機能はなかったのですが、弊社のためにスピーディーに開発いただきました。そういったところが、非常に我々に寄り添っていただけたと私は思っています。」(山田氏)

注釈

[1] 光学式文字認識(OCR) 技術は、手書きの文字やスキャンした画像データを読み取り、文字をテキストのデータとして抽出する技術。

[2] RFP(提案依頼書)とはRequest For Proposalの略で、発注側が必要な要件をまとめ、発注先に具体的な提案を依頼するための資料。

[3]APIとは Application Programming Interfaceの略。APIを連携させることで、システム同士を連携させ、システム間でデータを効率的に受け渡すことが可能になります。

今後のビジョン

AIの導入領域を一般支払から経理業務へ拡大し、不正検知などレベルの作業にも

支払処理の申請において、相手先と支払うタイミングと金額を入力するというのは、個別にはそれほどの作業ではないが、年間で10万件を超えるような件数だと全体では大きな工数になる。サントリーグループではNon-POの一般支払だけも年間10万件は超えるほか、経費立替精算、営業の販促金の支払など人間が手で入力している経理業務が膨大にあると国部氏は言う。

「まずは支払業務でRemotaを安定稼働させ、Remotaの活用に関して、我々が理解した上で、その他の経理業務にも広げていきたいと考えています。さらに、不正検知などもっとレベルの高い経理チェック、精査やモニタリングのような事もしていけるのではないかと思っています。」(国部氏)

サントリービジネスシステム株式会社グループ経理部 部長 国部潤一郎氏

「作業や手続きが一切なくなる最終形が実現できればと思います。発注などの上流データと連携して物を受け取ったらデータのやり取りで支払処理にまでつながり、業務フローを見える化し、自動化できる業務は全てテクノロジーに任せて、人間にしかできない業務としっかり分ける―例えば、どこで統制をきかせるかはきっちり人間が考えていく。そういった世の中になっていけばいいなと思っております。」(山田氏)

経理DXに対して

紙は一切なくなる、まずは紙や画像データをしっかり間違いなくデータ化するところから

経理業務のDXは、昨今注目を集めている。「やってみなはれ」という果敢に挑んでいくスピリットを大切にしているリーディングカンパニーでは、経理DXに関して、どのように考えているのか。

国部氏は、将来、世の中にある紙は一切なくなると予想する。

「しかし、直近しばらくは紙とPDFが混在し、残っていく世の中になるだろうから、そこをきっちりデータ化して、ロボットに移管できるものはどんどん移管していくことが必要だと考えています。」(国部氏)

障壁は紙だと話す山田氏は、データでのやりとりが進むことが重要だと考えている。支払業務だけではなくて、その後に発生する税務チェック、税務精査も人の手作業でやっているが、デジタル化が進むことで容易になっていくのではないかと話す。

CEOの意思決定を支援するのがCFO、それをサポートするのがわれわれ経理の役目

どのような事業戦略を立てるかなど、最終的には人間が意思決定しなくてはいけないところに、財務情報を中心にいろいろな情報を集めて経営判断の支援をする、そこが経理の重要な役割で、そのためにも定型業務や作業はデジタル化・自動化によって効率化を図り、より高付加価値の業務にシフトしていきたいと国部氏は言う。「経営者が意思決定するときに、ちゃんと根拠をもって判断が出来るような、そのような財務情報をあげていくのが我々の仕事の大事な部分ではないかと思っています。」(国部氏)

記事の内容は、2021年3月30日時点での情報です。

サントリービジネスシステム株式会社
本社:東京都港区台場2-3-3
業務概要:サントリーグループの経理、総務、人事領域などのシェアードサービス、営業部門のバックヤード業務の集約、サポート、ダイバーシティ&インクルージョンの実践